事業承継は、会社や事業を次世代に引き継ぐ重要なプロセスです。
承継方法によって課題や注意点が異なるため、それぞれのパターンの特徴を理解しておくことが成功の鍵となります。
以下では、よくある事業承継のパターンを3つに分けて解説し、それぞれのポイントを詳しく説明します。
このページの目次
1. 親族内承継
概要
- 現経営者の子どもや親族が後継者となる方法です。中小企業の事業承継において、最も一般的なパターンです。
特徴
- 経営権や事業資産が親族間で引き継がれるため、他者の介入が少なく、経営の独立性を維持しやすい。
- 家族経営の伝統や価値観を維持できる。
メリット
- 会社の経営方針や文化を守りやすい。
- 親族の信頼関係に基づいて引き継ぎが可能。
- 比較的スムーズに株式や資産を移転しやすい。
デメリット・課題
- 後継者に経営能力や意欲が不足している場合、事業運営が不安定になる。
- 他の相続人との間で相続トラブルが発生しやすい(遺留分の問題など)。
- 相続税や贈与税の負担が大きい。
ポイント
- 後継者の選定: 長男や長女に限らず、経営能力や意欲を重視して選定する。
- 相続税対策: 生前贈与や事業承継税制を活用して、税負担を軽減する。
- 遺産分割の調整: 遺言書や信託を活用して他の相続人への配慮を行い、トラブルを防ぐ。
- 後継者の育成: 経営ノウハウを教え、取引先や従業員との信頼関係を築かせる。
2. 親族外承継
概要
- 後継者を現経営者の親族以外から選ぶ方法です。社内の社員や外部の専門経営者が対象になります。
特徴
- 親族内に適任者がいない場合や、現経営者が親族以外の人材を信頼している場合に選択される。
メリット
- 経営能力が高い人材を選べるため、事業の発展が期待できる。
- 親族内に適任者がいない場合の有効な選択肢。
- 会社の株式や資産が分散するリスクが低い。
デメリット・課題
- 親族外の後継者との信頼関係を築く必要がある。
- 従業員や取引先に承継の意図を理解してもらうための説明が必要。
- 経営権と所有権が分離する場合、対立が起きやすい。
ポイント
- 後継者の選定: 社内の役員や幹部社員、または外部の専門経営者を候補とする。
- 株式の移転方法: 後継者に株式を売却するか、贈与する方法を検討する。
- 取引先や従業員への説明: 承継の目的や後継者のビジョンを共有し、信頼を得る。
- 報酬設計: 後継者の経営意欲を高めるため、適切な報酬体系を設計する。
3. M&A(売却による承継)
概要
- 会社や事業を第三者に売却する方法です。親族や従業員に適任者がいない場合や、現経営者が早期に引退したい場合に選ばれます。
特徴
- 外部企業に経営を引き継ぐことで、事業の継続や発展が期待されます。
メリット
- 現経営者が早期に引退できる。
- 売却益を得られるため、経営者の退職後の資金を確保できる。
- 業界内の大手企業に買収されることで、事業基盤が安定する。
デメリット・課題
- 従業員や取引先に対する説明が必要で、不安を抱かせる可能性がある。
- 売却条件の交渉が複雑で、時間がかかることがある。
- 売却後、創業者の意向が反映されにくい場合がある。
ポイント
- 売却先の選定: 業界内でシナジー効果が期待できる企業や、経営理念を共有できる買い手を選ぶ。
- 売却条件の交渉: 株式や事業資産の評価額、従業員の雇用継続条件などを慎重に交渉する。
- 専門家の活用: M&Aアドバイザーや弁護士を活用して、法的手続きや契約内容を確認する。
- 従業員への説明: 事業が継続されることや、買収後の体制を丁寧に説明して不安を払拭する。
パターンごとの選択基準
パターン | 選択基準 |
親族内承継 | 親族内に適任者がいる、会社の伝統や文化を維持したい場合 |
親族外承継 | 親族内に後継者がいない、または親族以外に経営能力の高い適任者がいる場合 |
M&A(売却) | 早期引退を希望する、または事業を成長させるために外部企業の支援が必要な場合 |
事業承継における注意点
(1) 相続税・贈与税の負担
- 高額な税金が発生する可能性があるため、事業承継税制や生前贈与を活用して対策を講じる。
(2) 関係者との調整
- 従業員や取引先、他の相続人との関係性を維持しながら進める。
(3) 法的トラブルの防止
- 遺言書や信託契約を活用して、後継者や相続人間の争いを未然に防ぐ。
弁護士が果たす役割
弁護士は、法的な観点から事業承継をスムーズに進めるための重要な役割を果たします。
【1】計画策定の支援
- 適切な承継プランの策定をサポート。
【2】税務対策のアドバイス
- 税理士と連携し、相続税や贈与税の負担を軽減。
【3】トラブル防止
- 遺言書や契約書の作成を通じて、相続人間や利害関係者との争いを防ぐ。
【4】交渉・調整の代理
- 承継過程での交渉や調整を弁護士が代行。
まとめ
事業承継は、「親族内承継」「親族外承継」「M&A(売却)」のいずれかのパターンに分類され、それぞれに適した対策と準備が必要です。どの方法を選ぶ場合でも、計画的に進めることで、スムーズな引き継ぎとトラブルの回避が可能になります。
「どの承継方法が最適かわからない」「法務や税務の手続きが不安」という方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
経験豊富な弁護士が最適な解決策を提案し、事業の未来を守るお手伝いをいたします。