相続が発生すると、相続人は 3か月の熟慮期間 内に、以下のいずれかの選択をしなければなりません。
- 単純承認(すべての遺産を引き継ぐ)
- 限定承認(プラスの財産の範囲内で負債を引き継ぐ)
- 相続放棄(すべての相続権を放棄する)
しかし、遺産の内容が複雑だったり、相続人間での協議が長引いたりして、期間内に決定できない場合があります。そのような場合でも、適切な手続きを取ることで対処可能です。
以下では、熟慮期間内に結論を出せない場合の対処法を詳しく解説します。
このページの目次
1. 熟慮期間の延長を家庭裁判所に申し立てる
熟慮期間内に相続の選択ができない場合、家庭裁判所に熟慮期間の延長を申し立てることができます。
延長を申し立てる理由
- 被相続人の財産(プラス・マイナス)が確定していない。
- 相続人間の協議がまとまらない。
- 財産調査に時間がかかる(不動産や海外資産の調査など)。
申立ての流れ
- 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。
- 熟慮期間延長申立書: 家庭裁判所の指定用紙を使用します。
- 戸籍謄本: 被相続人と相続人の関係を証明するために必要です。
- その他の資料: 延長が必要な理由を示す書類(財産調査に時間がかかる証拠など)
- 書類を家庭裁判所に提出し、手数料(収入印紙)や郵便切手を納付します。
- 裁判所が妥当な理由と認めれば、熟慮期間が延長されます(期間は状況に応じて決定されます)。
2. 相続放棄を選択し、後から取り消しできるかを検討する
相続放棄を選択した場合でも、一定の条件を満たせば撤回できることがあります。
期間内に判断が難しい場合の一時的な措置として、相続放棄をして後から取り消すことができるのではないかと思われるかもしれません。
相続放棄の注意点
- 基本的に撤回はできない
相続放棄を一度選択すると原則として取り消しできません。ただし、詐欺や脅迫による相続放棄など、特別な事情がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て撤回できます。 - 熟慮期間延長と比較検討
以上のように、相続放棄の取り消しは原則として認められないため、安易に相続放棄をせずに、熟慮期間の延長をした方がよいでしょう。
3. 遺産調査を加速する
熟慮期間内に結論を出すためには、早急に財産や負債の調査を進める必要があります。
遺産の全容が把握できれば、単純承認や相続放棄の判断がしやすくなります。
財産調査の方法
- 金融機関に問い合わせ: 被相続人名義の口座残高や借入金を確認します。
- 法務局で不動産登記簿を取得: 被相続人が所有する不動産を特定します。
- 信用情報機関で借金を確認: 信用情報を取得して負債を調査します。
- 専門家の力を借りる: 弁護士や司法書士が調査を代行することで迅速な結果が得られます。
- 不動産の価値を算定:当事務所では不動産業者と連携しておりますので、売却できる不動産かどうか、価値はいくらぐらいかということも含めて、査定してもらうことができます。
4. 限定承認を検討する
限定承認は、プラスの財産の範囲内で負債を引き継ぐ手続きです。
財産と負債のバランスが分からない場合に、リスクを抑えつつ相続する方法として有効です。
限定承認の特徴
- 相続人全員が共同で申立てを行う必要があります。
- プラスの財産を超える負債については相続人が責任を負いません。
申立ての流れ
限定承認申立書を提出します。
プラス・マイナスの財産を整理して提出します。
許可が下りたら限定承認が成立します。
5. 3か月を過ぎてしまった場合の救済策
万が一、3か月の熟慮期間を過ぎてしまい、特に明確な選択をしていない場合、自動的に単純承認(全ての遺産と負債を引き継ぐ)とみなされます。
ただし、次のように救済策が認められることもあります。
相続財産が全くないと信じ、かつそのように信じたことに相当な理由があるときなどは、相続財産の全部又は一部の存在を認識したときから3カ月以内に申述すれば、相続放棄の申述が受理されることもあります。
相続財産が全くないと信じていた場合や後から多額の借金が判明した場合等に、3か月を経過していても、相続放棄が受理される場合もあります。
必ず受理されるものではないため、財産関係が不明であれば熟慮期間を延長する方が無難だと思います。
6. 弁護士に依頼するメリット
熟慮期間内に決断できない場合、弁護士のサポートを受けることで迅速かつ的確な対応が可能です。
弁護士のサポート内容
- 熟慮期間延長の申立て代行: 迅速に家庭裁判所へ手続きを行います。
- 財産調査の代行: 負債や財産の状況を明確にします。
- 限定承認や相続放棄のアドバイス: 最適な選択肢を提案します。
- 債権者との交渉: 遺産の負債を巡る問題解決をサポートします。
7. まとめ
熟慮期間内に相続についての決断ができない場合でも、適切な手続きを行うことでトラブルを防ぐことが可能です。期間延長や限定承認など、状況に応じた対応を選択しましょう。
「どうしてよいかわからない」「複雑な財産状況で困っている」という方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
経験豊富な弁護士が、あなたの最善の選択を全力でサポートします。